比例道

アルツハイマー型認知症は自業自得のようだ

2022年3月15日 07:00 ・ 人工知能 ・ 健康 ・ 元の記事

ヒトの大人の神経細胞は新しく作られることがないと長く思われてきた。1998年の論文 "Neurogenesis in the adult human hippocampus"によりヒトの海馬体の歯状回では大人になっても新たな神経細胞が作られていることが明らかになった。歯状回の新生細胞は記憶や学習に貢献している。しかし、新しいことを勉強しないと新生細胞は成長することなく死んでしまう。

ああなるほどと思った。大学の先生や科学者や文筆家は年をとってもボケる人が少ない。彼らは年をとっても勉強しているからだ。私の観察ではボケる人は若いときから勉強しない人だ。だからボケるのはサボったせいで自業自得だろうと乱暴にも思っていたが、それは正しかったようだ。もちろん血管性の認知症はケガの一種であり自業自得ではない。

それはともかく海馬体の神経細胞数は何個くらいあるのだろうかと調べてみた。脳全体では1000億個くらい。そのうち小脳だけで800億個で、大脳皮質は140億個。残り60億個で海馬体を含めその他の部位を構成するのだが、海馬体って記憶の中枢だから結構多いのではないか。しかし調べると意外に少なかった。

海馬体の神経細胞数を数えた論文 "Volume and number of neurons of the human hippocampal formation in normal aging and Alzheimer's disease" によると海馬体の神経細胞数は健康な人で約5000万個、認知症の人で約3000万個だ。そのうち歯状回の神経細胞数はそれぞれ170万個、150万個とあまり差がない。海馬台=海馬支脚(subiculum)の神経細胞数はそれぞれ570万個、320万個と差がある。海馬体のCA1部分はそれぞれ2100万個、1000万個と大きな差がある。CA2/3部分はそれぞれ270万個、240万個とあまり差がない。

認知症の人の歯状回の神経細胞数が健康な人とあまり差がないのがちょっと意外だった。データから認知症の人の海馬体の神経細胞総数は健康な人よりひどく少ない(3000万個と5000万個)が、その主因は新生細胞数(つまり歯状回)の差ではなくCA1の神経細胞数の差と読める。なぜCA1の神経細胞数が認知症の人は少ないかは謎。

大脳皮質からの信号は嗅内皮質->歯状回->CA3->CA1->嗅内皮質->再び大脳皮質と伝わるのだが、経路からは認知症の人のCA1の神経細胞数が少ない理由は見えてこない。

強度のストレスにより海馬体の萎縮(=細胞の死滅)が起きることは知られている。CA2部位はストレスに強いが、それ以外の部位はストレスで容易に細胞死が起こる。これは海馬体が新しい情報をどの脳領域よりも素早くコード化できるために海馬体が払った代償と言われている。認知症の人のCA1が減るのは過度のストレスが原因というなら筋は通るが、認知症の人ってもともと考えない人だから考える人よりストレスが少ないはず。ストレスが原因とは思えない。なぜCA1が少ないのだろう?

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